「青殺(さっせい)」、何とも非情な言葉である。茶の生葉がその酵素により発酵するのを熱処理して止める事をいう。「失活」ともいう。こちらの方が未だ茶に対して温情がある。 古来、茶は日本の生活文化の重要な位置を占めてきた。かつては生糸と並ぶ主要な輸出商品として外貨を稼いだのは周知の通りである。日本の茶の文化は、八世紀頃、遣唐使や留学層が中国から持ち帰った事に始まる。 中国では紀元前2800年頃、伝説上の人物「神農(農業の神様)」が解毒剤として用いた事に始まると言われる。日本に伝来当初は蒸して固めた「固形茶」を煮込んで飲んでいたが、鎌倉時代になると宋で流行っていた茶葉を粉末状にして湯に溶かして飲む方式…