谷川俊太郎が死んだ。高校生の頃、私は同級生のMくんとガリ版刷りの詩集を創っていた。その頃、15,6年前に出版された”二十億光年の孤独”を読んだ。ちょうど20歳年上の谷川俊太郎が十代の頃に書いた詩だ。1960年代の後半は文学や思想の言葉が溢れ出し、氾濫した時代である。谷川俊太郎のなんでもない言葉が新鮮だった。かなわないなと思った。『宇宙はどんどん膨らんでゆく それ故みんなは不安である』(二十億光年の孤独)『透明な過去の駅で 遺失物係の前に立ったら 僕は余計に悲しくなってしまった』(悲しみ)『また輝き出した太陽に 僕はしたしい挨拶をした』(山荘だより)作詞家になったMくんとはその頃から一度も会って…