Et incarnatus est de Spiritu Sancto ex Maria Virgine, et homo factus est. そして聖霊によって処女マリアより受肉し、人間となった。 キリスト教のミサ典礼文の「クレド(ニケア信条)」のなかの一文である。 モーツァルトのハ短調ミサ曲(K427)では、この箇所はソプラノ独唱の天国的な至福に満ちたアリアで、とりわけ木管のソロとソプラノがからみあい響きあうカデンツァが美しい(フルートとオーボエとファゴットの三つが三位一体を表しているのだろう)。 それに比べると、同じ箇所の典礼文につけたバッハのロ短調ミサ曲の、十字架やすすり泣きのモチ…