北陸の本願寺の要・吉崎御坊は越前の国、加賀との国境にある。蓮如がこの地に降り立って以来(そして去った後も)、吉崎御坊は北陸の本願寺門徒たちの聖地であり続けた。門徒たちにしてみれば、この聖地がある越前を加賀のような「百姓の持ちたる国」にしようと考えるのは、当然の動きであった。つまり越前は、かなり初期の段階から一向一揆の攻撃目標となっていたのである。 越前における大きな一向一揆は、これまで2回発生している。1回目は「明応の政変」直後、1494年10月に越前から追われた甲斐氏残党と連動して行われたものだ。2回目は1504年8月に、朝倉氏を出奔した朝倉元景と結んで行われたものである。いずれも加賀からの…