民部少輔の家のうす暗い監禁部屋で皆が喜び合っている一方、姫君たちの居場所を知らされた宰相の君は考え込んでいました。開いた口がふさがらないような今北の方のたくらみ。はかなげで弱々しそうな姫君なのに、つらい仕打ちに長期間よくぞ耐えぬかれたことよ、と手をこすり合わせて神仏に感謝したいほどでした。「事の次第をまずどなたさまにお知らせすべきかしら。姫君に恋焦がれている東雲の宮さまに知らせた方が…だめね。下手にご相談したら、頭に血がのぼって何をするかわからないわ。無理に屋敷に押し入って姫君を取り返そうとするかもしれない。女をめぐって格下の身分の男の家に侵入したなんて世間に知られたら、とんでもない笑い者にな…