無事救出され、ようやくなつかしい山里の家に戻った姫君ですが、つらく恐ろしかった出来事からすぐに立ち直れるはずもなく、鬱々とした状態が続いています。お付き女房たちの慰めもあまり耳に入らなかったり、自分が行方不明だったときの尼上の心労と自分を心労を重ね合わせてみたり。心の平安を取り戻し、晴れ晴れとした笑顔を取り戻せるのはいつになるのでしょう。宰相の君は心ここにあらずといった状態の姫君を見るたび、「東雲の宮も姫君をご案じ続けていらしたのですよ」と嘆き続けていた宮の日々の様子を姫君に申し上げ、一日も早く姫君が元気を取り戻すよう気を配るのでした。その宰相の君もやがて、「父大納言殿の庇護のもと、姫君もよう…