Peter Vilhelm Ilsted, Girl Reading a Letter in an Interior, 1908 10代のころ、私は「少女」になりたくてしょうがなかった。 「少女」とはただの未成年女性のことではない。気高く美しく聡明で、水晶や硝子のように澄明な(ときに残酷なほど)、それでいて妖精のように儚げな存在のことである。 当時、私は一般語彙でいうところの少女に該当しながら、自分は「少女」の資格を持たないと思っていた。正直なところ、あのころの自分はこれを書いている今も好きになれないし受け容れることもできない。潔癖という以上に偏狭で、常に「莫迦にされている」という被害妄想と劣…