中国の書籍。著者不詳。
中国最古の図書目録である『漢書』藝文志には「山海経十三篇」が既に見える。成立年代については諸説あるが、最古の部分は前三世紀(戦国時代末)に遡る可能性が高い。
中国古代の口頭伝承を集めたものと考えられる。古代の民間信仰、特に山岳信仰についての知見が得られる。奇怪な想像上の怪獣としか思えない生き物が頻出する、いわゆる眉唾の本であるが、占いや予言の記述があり、方士にとって有益な情報を提供したと考えられる。『史記』の司馬遷には「山海経に書いてあることは取り上げない」と完全に無視される。また誤字脱字が多いことでも有名。
というのが文学畑の割と通説的な意見ですが、最近では、帛書(絹に絵や文字を書いたもの、高級な書物)との書式の類似や、医書との関係なども取りざたされているとかいないとか。書物としての用途はよく分からない。抑も実用的な書物だったのかどうかも謎である。