2023年、最初に取り上げた作家は、城山三郎でした。彼は、実在した経営者をモデルにした経済小説をたくさん書いています。今回は、そのなかでも「企業の祖業」を扱った作品を二つ紹介したいと思います。ひとつは、信販会社の老舗で最大手の日本信販(1951年創設)の創業者・山田光成をモデルにした『風雲に乘る』。もうひとつは、日本ツーリスト(1948年創設。1955年に近畿交通社と合併して近畿日本ツーリストになる)の創業者・馬場勇をモデルにした『臨3311に乘れ』です。二つの作品から浮かび上がるのは、創業時に立ちはだかる高い壁と、それを打破していこうとする強い「信念・覚悟」です。このブログをご覧いただいてい…