「下請け企業を扱った作品」の第二弾は、清水一行『系列』(集英社文庫、1995年)。日本の自動車メーカーはいわば「組立メーカー」。傘下に多くの下請け企業を抱えています。そうしたピラミッド型の組織のなかで、自動車メーカーは、下請け企業の株を20%以上保有し、殺傷権を握っていることも。本書が明らかにしているのは、系列部品メーカーにおける役員の年齢制限の押し付け、社長・重役の決定への関与、果てしなきコスト削減の要求など、親会社の理不尽な要求に翻弄される下請け会社の苦悩です。日産を連想させる「東京自動車」と、市光工業を連想させる従業員3600名・資本金80億円の自動車用ヘッドランプメーカーである「大成照…