「はじめて物語」の第三弾は、谷津矢車『蔦屋』(学研パブリッシング、2014年)です。今年のNHK大河ドラマは、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。横浜流星さん演じる主人公・蔦屋重三郎は、江戸時代の出版人。芸術家・作家の才能を発掘した「プロデューサー」であり、「メディア王」とでも言えるような存在でした。ちなみに、現代のTSUTAYA創業者である増田宗昭は、蔦重にあやかって、蔦屋書店と名付けたと言われています。本書は、吉原から本屋・出版業界に参入し、次から次へと新しい企画を実現させ、江戸の人々に楽しみと刺激を与え続けた、蔦重の型破りなビジネス感覚・商人魂像が描かれています。 [おもしろさ] 吉原であれ…