クラシック、指揮者、1932年生まれ、東京都出身、東京芸術大学音楽部器楽科中退。打楽器奏者から指揮者に転向した例は、世界的に見ても珍しい。「初演魔」と呼ばれるほど、現代音楽の初演を数多く手掛けるほか、軽妙なエッセイでも知られる。 2006年6月13日、心不全のため73歳で死去(晩年はオーケストラ アンサンブル金沢でベートーベン交響曲を全部振った)。
岩城宏之の「森のうた」っていう 文庫をいま読んでるんです。 と前に書いてましたけど、とっくに読み終えました。 岩城宏之と山本直純という偉大な指揮者たちの、 痛快青春グラフィティ。 とくに山本直純の天才ぶりは驚かされます。 こんなエピソードがありました。 先生はピアノの前に座り、威勢よくいちばん先にのりこんで、 右端のいすに座ったナオズミに声をかけた。 聞き取れないほどの静かな声である。「きみ、いまたたく和音の中の、上から三番目の音の、 五度下の音を声に出してごらん」和音なんていうものではない。 指十本の全部を使った目茶苦茶な不協和音だ。ナオズミは即座に、「アーツ」とダミ声をあげた。聞いているぼ…
岩城宏之の「森のうた」っていう 文庫をいま読んでるんです。 岩城宏之と山本直純という偉大な指揮者の、 青春グラフィティってとこですかね。 天才、山本直純との交流模様が楽しいです。 だけどぼくはちょっとキマジメなのか、 どうしても引っかかるエピソードがあるんです。 東京藝術大学時代の話です。 岩城&山本コンビは指揮をやりたいというので、 学生による学生のためのオーケストラを結成しようとします。 ところが、だれも参加者がいないので、 練習に来た者には1人2杯ずつもりそばを進呈すると ポスターに書いたら、たちまち85人も集まりました。 ふたりのぶんを加えると、174杯のもりそば。 そば屋に注文したら…
岩城宏之さんのエッセー「指揮のおけいこ」に続き、「森のうた」を読んでみた。こちらの本は、時系列的にも出版も「指揮」よりは先。副題に「山本直純との藝大青春記」にあるとおり、東京芸術大学(本では、「藝大」と表記している)に在学している時の話をまとめたものだ。いわば青春時代の馬鹿話で、山本直純さんが実質的な主人公と言えるかもしれない。 森のうた : 山本直純との藝大青春記 (河出文庫) 作者:岩城宏之 河出書房新社 Amazon 岩城さんは子どもの時に木琴を始め、打楽器奏者として東京芸大に入った。「指揮のおけいこ」もそうだったが、いまでは、掲載に配慮が必要な言葉とか、死語が随分と出てくる(「ブス」な…
オーケストラの指揮者の仕事って、わかるようでわからない。とはいえ、なんとなくはわかるような気もする。これまでも指揮者関係の本をいくつか読んできたが、岩城宏之さんは初めてなので手に取った。表紙も可愛らしい。 指揮のおけいこ (河出文庫) 作者:岩城 宏之 河出書房新社 Amazon すでに故人だが、そもそもは「週刊金曜日」に連載されていたらしい。岩城さんが執筆した経緯は分からないが、この雑誌ってこんな柔らかい話を載せるスペースがあったのか(単に柔らかいだけじゃないが)。 そもそも何のために指揮者はいるのか。休暇の取り方。服装。大物指揮者に見せるには(名指揮者とは別とのことだ)など、指揮者がらみの…
東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、武満徹の管弦楽作品集を取り上げます。 ほぼ1980年代の作品が並んでおり、武満晩年の充実した作品ばかりです。有名な「鳥は星形の庭に降りる」など、幻想的な作品ぞろい。 収録されている作品は単独で作曲されたものばかりで、映画音楽からとったものはほとんどありません。それだけに管弦楽作品として堂々たるものです。中には協奏的作品もあります。 全体に共通しているのは、不協和音が多用されているわりには、生命力が感じられる作品が多いということです。それを踏まえてなのか、演奏するメルボルン響はその和声を人間の声のように演奏します。 そのメルボルン響を振…
3曲ともオーケストラ・アンサンブル金沢の委嘱作 20221202(了) 権代敦彦/猿谷紀郎/一柳慧 (1)権代敦彦(1965-)/愛の儀式 ― 構造と技法― 作品70 18:02 宮田まゆみ(笙) (2)猿谷紀郎(1960-)/ときじくの香の実 19:39 林英哲(和太鼓)、赤尾三千子(能管) (3)一柳慧(1933-2022)/音に還る―尺八とオーケストラのための― 17:15 三橋貴風(尺八) オーケストラ・アンサンブル金沢 指揮:岩城宏之 全作品 2002年 OEK委嘱・世界初録音 ライヴ録音/2002年3月14-16日/石川県立音楽堂 コンサートホール 56:04 CD/現代音楽/Ⓟ&…
今年は『ガルパン』の劇場版や『シン・ゴジラ』といった、映画の話題が楽しくできたように思う。4DX上映など、世間もそういうライブ感に飢えているのかな、というのが実感。最近はクラシック音楽に関する話題が中心になりがちだが、看板に偽りなくデジタルなもの中心に興味あるものは節操なく扱っていきたいと思う。また、コンシューマー・PCゲームに時間を奪われることも多く、いずれネタにしたい。 ということで例年のごとくクラシック音楽の話題で締めくくりたい。・没後10年の指揮者・岩城宏之を思う武満徹も没後20年だったが、岩城宏之も忘れられない人である。自分の趣味で、日本人作曲家との関係ばかり注目していたことを少し反…
結婚してびっくりしたことの一つが 夫と私の子ども時代の日曜日のテレビ 結構同じで。。 もともと趣味が違うので、見ている番組は全然違うのに、日曜日は同じ。 夫と私というより、それぞれの家族が見ている番組が同じだったみたいで。昔は、ビデオも無かったのでテレビは「生」で見るものでした。 だから、「チャンネル争い」という言葉が頻繁するほど、テレビの主導権は、大切な重要なもので。 平日は子どもが主導権とってるのですが 日曜日は、完全にお父さんとかおじいちゃんとかが握ってて。かなりつまらない。番組も日曜日はそれに合わせてあるのか、 子どもには全然面白くなくて。。ちなみに、夫の家と共通する番組は、朝8時くら…
大切なご本を丁寧に買取させて頂きます。いつでもご相談くださいませ。 お電話:090-8839-9159 メール:shirota@mx71.tiki.ne.jp 本の買取強化中です。JR小倉駅北口「小倉の古本屋」古書城田 JR小倉駅北口(新幹線口)の古本屋、古書城田です。北九州市内をはじめ福岡県内&近県、本の出張買取、本の遺品整理を行なっています。大量歓迎です。査定無料、出張費無料です。どうぞご相談くださいませ。 古物商許可証 [第32483号/福岡県公安委員会] 全国古書籍商連盟北九州古書組合所属 店舗はJR小倉駅北口、徒歩1分の場所にございます。ファミリーマート小倉駅北口店さんのすぐ裏手とな…
詩人の谷川俊太郎さんがお亡くなりになったので、NHK-FMの『クラシックの迷宮』2018年4月29日の放送で「立体放送のためのカンタータ・ディアロジーク「男の死」~NHKのアーカイブスから~」を聴いたのをメモ。 標題:武満徹と谷川俊太郎の男の死 分類:音楽>現代音楽>放送音楽 ■題名:立体放送のためのカンタータ・ディアロジーク「男の死」 名前:武満 徹 脚本・作詞:谷川 俊太郎 歌:友竹 正則浜田 尚子 声優:水島 弘日下 武史岸田 今日子大久保 知子小池 朝雄松宮 五郎 音楽:シャンブル・サンフォニエット東京放送合唱団 指揮:岩城 宏之 効果:東京放送効果団 放送年:1957年 製作国:日本…
タワーレコード・オリジナル企画盤日本コロムビア x TOWER RECORDSタワーレコード SACD化プロジェクト最新作 The Valued Collection Platinum「DENON 原盤 ハイブリッドSACDシリーズ」アナログ録音名盤 2 タイトル 限定盤~‘60年代終わりのコロムビア原盤による日本人のアナログ録音2種が高音質化により最新で蘇る!名盤2選 ブラームス: 交響曲第1番、悲劇的序曲、大学祝典序曲(2024年マスタリング)<タワーレコード限定>岩城宏之 、 バンベルク交響楽団 タワーレコード ドイツ伝統のサウンドを継ぐ名オーケストラを率いる若き岩城の名盤がSACDで復…
「ハンチントンの罠」というのは松本健一氏が何処かで書いていた。 ふと、ハンチントンは、世界は分断されてぶつかり合うということを言うために、ぶつかり合いを前提として将棋の駒の一つとして、逆算して日本を「一つの文明」として表現したのではないかと想像してしまった。 先に、ハンチントンに認めてもらうことよりも、自己規定の努力をすべしという主旨のことを書いた。しかし、改めて簡単ではない事を感じた。教育の場で、日本人として云々と言うけれど、その根幹が安定していない。国によって教育は一様ではない。歴史が長い国はそれなりの教育があるはずだ。教育の目的が子ども一人一人のためのものであることは変わらない。歴史の長…
◯東京交響楽団第724回定期演奏会 【日時】2024年9月21日(土) 18:00開演 【会場】サントリーホール【管弦楽】東京交響楽団 【指揮】秋山和慶 <Profile> 1941年東京生まれ。青山学院初等部、青山学院中等部、桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部卒業。 指揮法を齋藤秀雄、ピアノを井口秋子、ホルンを千葉馨、打楽器を岩城宏之に師事。「齋藤メソッド」(指揮法)の継承者であり、小澤征爾、山本直純らと共に齋藤秀雄の門下生。齋藤の下で厳しい指導を受ける。 1984年には、恩師・斎藤秀雄を偲んで小澤征爾と共に「斎藤秀雄メモリアルコンサート」を開催。このコンサートがサイトウ・キネン・…
「イラスト素材:サイコパス、ソシオパス、シルエット」 科学的に判明したサイコパス特有の見た目や口癖の特徴【ゆっくり解説】- YouTube 全部当てはまったら要注意…嫌われて人が離れていくソシオパスの特徴【ゆっくり解説】- YouTube
8月31日に「東混オールスターズ」という東京混声合唱団の演奏会がありまして。東混ゆかりの指揮者8名が、指揮者それぞれの持ち味を存分に発揮された豪華な演奏会。この配信がとても良かったんですよ!(配信販売は9月29日まで) ※<東混オールスターズ>アーカイブ配信について、好評につき配信期間を【9/30(月)まで】延長することが決定いたしました……だそうです。 \東混オールスターズ配信開始⭐️/アーカイブ配信が開始されました📺本日から9/16(月)23:59 まで、2週間ご覧いただけます🎶終演後ですがご購入いただけます。音楽監督山田和樹も配信を楽しんでいた模様🤭ぜひご覧くださいませ…!https:/…
おれたちはがらがらの新宿を歩いて油そばの店に入った。屋外の席の風があまりに気持ち良くて、おれたちは不倫なんかしてないって気がした。 (「フェイク広告の巨匠」) 以下、2014年9月8日づけの記事より。 唐突な連想めくが、指揮者の岩城宏之が語っていた印象的な言葉をここに書きとめておきたい。岩城氏によれば、指揮者の仕事とはオーケストラの「邪魔をする」ことだという。つまりある程度の能力を持ったオーケストラならば、指揮者がいなくても一応そつのない演奏をすることができる。そのそつのない音楽の流れを、ある時はせき止め、ある時は断ち切り、そこに停滞やひずみを生じさせるのが指揮者の務めだという。それが成功した…
9月6日誕生日の全国35万人の皆さんおめでとうございます (拙句) 妖艶と言ふには少しためらはる 雅舟 【花】 ヨルガオ(ヒルガオ科) 【花言葉】 妖艶 【短歌】 裏庭の小暗くなればヨルガオの怪しく白く人知れず咲く 浮世絵の女人の肌を思わせるようなヨルガオのなまめかしい白さが、夕暮れに浮き立ちます。「妖艶」の花ことばにふさわしい風情です。 【季語】 夜顔【俳句】 夜顔のひらくは風の湧くところ 朝倉 和江 夜顔や飯店まもる石の獅子 大島 民郎 天辺にまたたく火星夜開草 西原ヨネ子【三行詩】 ウリ科の夕顔とは別 ヒルガオ科の夜顔は 朝顔に似て純白芳香 【万葉歌】美夜自呂のをかへにたてるかほが花な咲…
7月21日 逝去(*1) 9月1日NHK-FM「現代の音楽」において、特集「作曲家・湯浅譲二をしのんで(1)」 案内は白石美雪(音楽学、音楽評論)、ゲストは柿沼敏江(音楽学者) 冒頭、司会者が故人の経歴を簡単に紹介する。 次いで案内人とゲストが故人に対する思い出を交換し合う。 柿沼は若い時に湯浅の楽曲の研究を行った。それが人づてに湯浅に伝わり、交流が始まった。 番組中で紹介された楽曲は: ・ホワイトノイズによるイコン(1966) NHK電子スタジオ制作 ・ヴォイセス・カミング(1969) NHK電子スタジオ制作 ・オーケストラのための「クロノプラスティック」(1972) 演奏は岩城宏之指揮N響…
Masculin:何だか最近は、思い出すことのほとんどが半世紀も前のことばかりで。 Féminin:そうね、私たちだって知り合ってから半世紀以上なんだし、ほとんどの思い出がその歳月の間に散りばめられてるんですもの…ところでこの年のバーンスタインとNYフィルって最初は一緒に行こうっておっしゃってたのよね。 M:そうだったんですよ。ところがレニーのマーラーとブーレーズの「春の祭典」と一晩ずつのつもりでいたら手違いで四公演全部一人で引き受ける羽目に。 F:私は翌月のバイエルン国立歌劇場のクライバー指揮「ばらの騎士」を一緒に行くつもりだったのに、NYフィルを全部引き受けるから残念だけど無理ですって…そ…
NHKラジオ高橋源一郎の「とぶ教室」で紹介していた本を、図書館で借りて読みました。 富士山をバックに「大きいことは良いことだ」と指揮して、昭和の高度経済成長を象徴する森永チョコボールの宣伝に出ていた指揮者・山本直純との芸大時代の珍コンビな岩城宏之の回顧録。山本直純があの宣伝の印象とは真逆の絶対音感の天才だったのには驚かされます。 戦後の無秩序な社会状況下での、上流階級の野放図でバンカラでかつどこかおおらかな学生生活がうかがえて面白かったです。カラヤンの公演を潜りで見に行くシーンは傑作です。 敗戦直後の日本で芸大へ行くような人々はいずれにしてもおぼっちゃまですね。
2024.7.27(土)ミューザ川崎シンフォニーホールフェスタサマーミューザ・オープニング公演指揮:ジョナサン・ノット管弦楽:東京交響楽団チャイコフスキー:交響曲第2番ハ短調作品17『小ロシア』(1872年初稿版)チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74『悲愴』 ジョナサン・ノットは一昨年、本邦楽壇の話題をかっさらった、アスミク・グリゴリアンがタイトルロールの『サロメ』演奏会形式公演(サントリーホール)以来。小ロシアは初めて。悲愴は昨年のすみだトリフォニーホール、阿部加奈子さんと新日本フィルの忘れ難き鮮烈な演奏以来・・かな。 いきなり余談ですが、そろそろ新日本フィルの来シーズンの発表になり…
1998年のNHK大河ドラマ『徳川慶喜』の音楽は、作曲家の湯浅譲二さんによって作られました。彼は日本の現代音楽を代表する作曲家の一人で、独特の音楽スタイルで知られています。ドラマの音楽は、岩城宏之さん指揮のもと、NHK交響楽団が演奏しました。 ドラマのオープニングテーマ曲は、当時の農村地帯や下町の情景、庶民の暮らしぶりなどが再現された映像に合わせて、湯浅譲二さんの音楽が流れるというものでした。また、ドラマの最後では、主人公・慶喜が家族と写真撮影をした後、明治維新の諸制度改革や西南戦争から平成大不況に至るまでの出来事がテーマ音楽に沿って資料写真や映像でフラッシュされるラストとなっていました⁷。 …
【日時】2024.6.4.(火)19:00〜 【会場】サントリーホール 【管弦楽】東京都交響楽団 【指揮】エリアフ・インバル 【曲目】ブルックナー『交響曲第9番 ニ短調 WAB109(2021-22年SPCM版*第4楽章付き)[*日本初演]』 (曲について) ブルックナーが死去した時、交響曲第9番は第3楽章まで書かれていたものの、第4楽章フィナーレは未完成でした。以後、第9番の演奏は第3楽章で終わる形が一般的となり、作曲者が亡くなる直前に示唆した、フィナーレの代用として旧作の《テ・デウム》を置くやり方は普及しませんでした。 1960年代から、遺された草稿やスケッチからフィナーレを補筆完成する試…