どうすればよいかと御息所は迷った。 潔斎所《けっさいじょ》についている神官たちに どんな想像をされるかしれないことであるし、 心弱く面会を承諾することによって、 またも源氏の軽蔑を買うのではないかと 躊躇《ちゅうちょ》はされても、 どこまでも冷淡にはできない感情に負けて、 歎息《たんそく》を洩《も》らしながら座敷の端のほうへ 膝行《いざっ》てくる御息所の様子には艶な品のよさがあった。 源氏は、 「お縁側だけは許していただけるでしょうか」 と言って、上に上がっていた。 長い時日を中にした会合に、 無情でなかった言いわけを散文的に言うのもきまりが悪くて、 榊《さかき》の枝を少し折って手に持っていた…