この二つの魂は、曙の光を見ぬうちから、生まれながらの純潔に耀いて、あたかも郷愁に悩むがごとく、「天上」の事物をのみひたぶるに慕ひ求むる一種遣瀬なき情熱を授けられて、その姿を現したのであつた。 リラダンによる短篇。初出は1885年『ラ・ルビュー・コンタンポレーヌ(La Revue contemporaine)』誌にて、ついで『新残酷物語(Nouveaux Contes Cruels)』1888、『奇談集(Histoires insolites)』1888に集録。 リラダンの深遠な思想と、幽玄な夢が、率直に語られる名篇。選ばれし久遠の伉儷、双の霊魂が完全なる調和のもと、至上の生活を営むという物語。…