このごろは女院も御所に来ておいでになった。 帝は新しい女御の参ることをお聞きになって、 少年らしく興奮しておいでになった。 御年齢よりはずっと大人びた方なのである。 女院も、 「りっぱな方が女御に上がって来られるのですから、 お気をおつけになってお逢いなさい」 と御注意をあそばした。 帝は人知れず大人の女御は恥ずかしいであろうと思召されたが、 深更になってから上の御局《みつぼね》へ上がって来た女御は、 おとなしいおおような、 そして小柄な若々しい人であったから自然に愛をお感じになった。 弘徽殿《こきでん》の女御は早くからおそばに上がっていたから その人を睦《むつ》まじい者に思召され、 この新女…