明治殺人法廷 作者:芦辺 拓 東京創元社 Amazon 昔も今も変わらない、維新とはすなわちならず者の別言を越えない。 時は明治20年、藩閥政治の暴虐に揺れる東京でひとつの条例が発布、そして即日施行される。その言わんとするところは、「皇居または天皇のお出まし先から三里以内に住むものが、内乱を謀ったりそそのかしたり、治安を侵す恐れがあると疑われるときには、警視総監または地方長官、内務大臣の認可により期限つきで退去を命じ、3年間は同距離内への立ち入りを禁止することができる」。 時の警視総監三島通庸によって主導された、この島流し立法の意図は明白だった。治安の二字を錦の御旗に、明治憲法、帝国議会の前夜…