夫人には明石の話をあまりしないのであるが、 ほかから聞こえて来て不快にさせてはと思って、 源氏は明石の君の出産の話をした。 「人生は意地の悪いものですね。 そうありたいと思うあなたにはできそうでなくて、 そんな所に子が生まれるなどとは。 しかも女の子ができたのだからね、 悲観してしまう。 うっちゃって置いてもいいのだけれど、 そうもできないことでね、 親であって見ればね。 京へ呼び寄せてあなたに見せてあげましょう。 憎んではいけませんよ」 「いつも私がそんな女であるとしてあなたに言われるかと思うと 私自身もいやになります。 けれど女が恨みやすい性質になるのはこんなことばかりが あるからなのでし…