初めて、結婚を意識したのは、大学生の頃だった。 当時、母は、スナックのママ。 私は、昼は大学に通い、夜は母の店を手伝っていた。 お客様は、みんなお父さんみたいな年齢の方ばかり 常連のお客様が連れていらした部下の方が、いちばん若いお客様で30歳。 私よりも一回り年上だった。 成城の坊ちゃんで、親会社の専務の息子さん。 上司も、親会社の重役の方々も、彼をジュニアと呼んでいた。 細身で優し気なイケメン。 趣味はアーチェリー。 直属の上司が、ほぼ毎日通う店には来づらいものです。 それでも、時々同僚と来店するようになった。 電話で、上司と、親会社の、かつて彼の父親の部下であった役員さんが不在なことを確か…