歴史学者のウォルター・シャイデルによる、世界上のさまざまな「破壊がもたらした平等化」を扱った『暴力と不平等の人類史』(東洋経済新報社、2019年、原著2017年、鬼澤忍・塩原通緒訳)という本があります。 その本では、アジア太平洋戦争による「平等化」に1章が割かれています。シャイデルによれば「日本は、戦争由来の平等化の教科書的な事例」だそうです。 第ニ次世界大戦前夜の時代、日本も欧米も、今の私たちの感覚では激しい格差社会でした。 経済史の研究者・森口千晶さんのレポート(『週刊エコノミスト』2014年8月12・19日合併号所収)によれば、1930年代(昭和戦前期)の日本では「成人人口の上位1%」の…