酒場『ブラック・マスト』の裏。隣の貴金属商店とのあいだにできた細い通り道に、数人の青年たちと初老の男性がいる。商店の外壁に寄りかかる男性を取り囲むようにして、青年らは立っている。そのうちのひとり、背の高い金髪の男性が、地面に置いたトランクケースから1丁の銃を取り出して言った。 『これは新品だけど、特別に安くしとくぜおじさん』 初老の男性は首を横に振って答えた。 『いや。金額には興味がないんだ。先ほど君に渡したように、私は今のところ金には困っていない。なんなら後日、追加で1,000ダレルほど持参しようか』 『1,000!』 青年らは顔を見合わせて驚きの声を上げた。金髪の青年は口笛を吹いて男性を【…