面《おも》かげは 身をも離れず山ざくら 心の限り とめてこしかど 若紫の祖母 北山の尼君に by 源氏の君💐 〜山桜(姫君)の面影が わたしの身から離れません 心のすべてをそちらに置いて来たのですが。 🌼第5帖 若紫🌼 源氏は翌日 北山へ手紙を送った。 僧都《そうず》へ書いたものにも女王《にょおう》の問題を ほのめかして置かれたに違いない。 尼君のには、 「問題にしてくださいませんでしたあなた様に 気おくれがいたしまして、 思っておりますこともことごとくは言葉に現わせませんでした。 こう申しますだけでも並み並みでない執心のほどを おくみ取りくださいましたらうれしいでしょう。」 などと書いてあっ…