サミュエル・ハンチントンの著作。1996年出版。 原題は『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』 (「文明の衝突と世界秩序の再創造」) 共産主義というイデオロギーの崩壊により、宗教などを基軸とする文明が新たな対立軸になることを説明したもの。
文明の衝突
ハンチントンの『文明の衝突』をネタにして、「日本は独立した一個の文明で素晴らしい」という主旨の動画を見かける。他にも「日本スゴい」の動画が目に入ることがある。日本は世界から羨望される国というのもある。よく気になるのは「何故そうなったか」ということが示されないことである。羨望を取り上げるなら、「どうしたら、そのようになれるのか」まで明らかにしないと、優越感に浸って終わりということにならないか。日本人は親切だというならば、そこまで説明するのが本当ではないのか。しかし、「努力することです」みたいないい加減な答えでは、「努力した日本はスゴい」というような金太郎飴が続いてもっと良くないかもしれない。 『…
今回は「文明の衝突」を要約していきます。 冷戦以後の国際関係(ソ連崩壊・西欧中心主義の崩壊)を整理し、未来予測した本です。21世紀に中東地域で発生した紛争など一部の事実を予言したとして定期的に話題にされる国際政治の本です。 ■文明の衝突 ■ジャンル:政治学 ■読破難易度:中(世界史・宗教に関する基礎知識があると読みやすいと思われます。地域や文明を度々カテゴライズするので、その区分の背景が理解できないと読みづらさを感じると思われます。) ■対象者:・国際政治・国際関係に関して興味関心のある方 ・宗教・イデオロギー対立がもたらす影響について興味関心のある方 ・西欧中心主義に関して理解を深めたい方 …
サルからヒトへの進化や文明史の検討において、文明の定義には「侵略・戦争・殺害・奴隷化」を基準として追加する必要があると考えるようになりました。 英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、5600万人の南北アメリカの先住民が大量虐殺(疫病死などを含む)されたとしています。アメリカ国務省は先住民を200万~1800万人と推定していますが、現在の先住民の人口が200万人ほどであることからみて1000万人を超える殺害が行われた可能性が高く、インカ帝国では1500万人が殺害されたとされています。そして、原住民は奴隷として鉱山やプランテーションで働かされて殺され、アフリカから1200…