「竜丸さん、検討してくれる?」 そう言われたとき、心の中で小さなため息が出た。人が足りないので出てほしい、と。もちろん、その“お願い”が悪意のあるものではないのは分かっている。信頼されている証かもしれない。でも、私の心は素直に「嫌だ」と思った。 だがここではいったん「はい」でも「いいえ」でもなく、「すみません、少し考えさせてください」と返すことにした。もちろん、心の中では断ることに決めている。 私たちはなぜこんなにも「断る」ことに対して罪悪感を抱いてしまうのだろう。頼まれごとを断るのは、わがままだとか冷たいとか、そんな空気が社会にはある。けれど、「何でもかんでも引き受けること」が、本当にいいこ…