時々、たまらなく一人になりたくなる。そういう時、私は山へ行く。なにも考えずにワシワシ足を運ぶ。木の根をまたぎ、岩を乗り越え、ひたすら上へ上へ。考えすぎていた脳がほどけていくような感じがとても好きで、私はよく、一人で山へ行く。 今日のルートは、人が少ない道を選択した。メインの登山道から脇に入る。細い尾根道を抜け、急坂をおっかなびっくり下ると、沢に沿った道につながる。 滝の音が聞こえる。最高気温17度の小春日和でも、吐く息が白い。空気がとんでもなくきれいだ。 シダが生い茂った沢を抜けると、集落に出る。空が突然広くなる。畑と、その中に家がポツンポツンとある。この時期はあちらこちらに、ミカンかゆずか、…