「沙林―偽りの王国」帚木 蓬生 <所感> 沙林=台湾語でサリン。1994年の松本サリン事件からもう30年近くが経つ。 フィクションの体裁と言いつつ、本書は神経内科医の目線でそんなオウム真理教による凶悪犯罪を振り返っている。 また筆者が医師ということもあり、とにかく毒ガスに関する言及が細かい。 詳細に言及しすぎな感もあるが、実事件だからこそしっかりと記録に残しておくという意味では価値があるだろう。 教祖の死刑が執行された今、オウム真理教の凶暴性や異常性はこれ以上解明できないことが多いかもしれない。 一方で、一連のオウム事件でこれからも腑に落ちないのは以下の点だと感じ、この議論は風化させてはいけな…