ワールドカップ、日本代表初のベスト8なるかと盛り上がった本大会、ルールもわからず観戦していたが、すぐに夢中になった。選手の体の動きがすごい。まさにバネのごとく筋肉を収縮させて走る、倒れそうな角度に傾いてシュートを打つ、空中で仲間同士ぶつかり合って喜び合う。こんなふうに自由に体を動かせたらどんなに楽しいだろう、と思った。 さて昨年、ピッチの上の選手のように、ページの上で言葉が躍動する小説が登場した。過去には綿矢りさや宇佐見りんを輩出した新人賞である文藝賞の受賞作、日比野コレコの『ビューティフルからビューティフルへ』だ。 謎の老女ことばぁの元に集う高校生3人。親にネグレクトされても期待に応えようと…