【源氏物語724 第22帖 玉鬘24】 右近は旅からすぐに六条院へ出仕した。 姫君の話をする機会を早く得たいと思う心から急いだのである。 門をはいるとすでにすべての空気に 特別な豪華な家であることが感ぜられるのが六条院である。 来る車、出て行く車が無数に目につく。 自分などがこの家の一人の女房として自由に出入りをすることも まばゆい気のすることであると右近に思われた。 その晩は主人夫婦の前へは出ずに、 部屋へ引きこもって右近はまた物思いをした。 翌日は昨日自宅から上がって来た高級の女房が 幾人《いくたり》もある中から、 特に右近が夫人に呼び出されたのを、右近は誇らしく思った。 源氏も夫人の居間…