こうして二人並んで身を横たえていることで、 源氏の心は昔がよみがえったようにも思われるのである。 自身のことではあるが、これは軽率なことであると考えられて、 反省した源氏は、人も不審を起こすであろうと思って、 あまり夜も更《ふ》かさないで帰って行くのであった。 「こんなことで私をおきらいになっては私が悲しみますよ。 よその人はこんな思いやりのありすぎるものではありませんよ。 限りもない、底もない深い恋を持っている私は、 あなたに迷惑をかけるような行為は決してしない。 ただ帰って来ない昔の恋人を悲しむ心を慰めるために、 あなたを仮にその人としてものを言うことがあるかもしれませんが、 私に同情して…