今朝《けさ》の管絃楽はまたいっそうおもしろかった。 この日は中宮が僧に行なわせられる読経《どきょう》の初めの日であったから、 夜を明かした人たちは、 ある部屋部屋《へやべや》で休息を取ってから、 正装に着かえてそちらへ出るのも多かった。 障《さわ》りのある人はここから家へ帰った。 正午ごろに皆中宮の御殿へ参った。 殿上役人などは残らずそのほうへ行った。 源氏の盛んな権勢に助けられて、 中宮は百官の全《まった》い尊敬を得ておいでになる形である。 春の女王《にょおう》の好意で、仏前へ花が供せられるのであったが、 それはことに美しい子が選ばれた童女八人に、 蝶《ちょう》と鳥を形どった服装をさせ、 鳥…