光源氏36歳の春から夏の話。 3月20日頃、源氏は春の町で船楽(ふながく)を催し、 秋の町からも秋好中宮方の女房たちを招いた。夜も引き続いて管弦や舞が行われ、 集まった公卿や親王らも加わった。 中でも兵部卿宮(源氏の弟)は玉鬘に求婚する一人で、源氏にぜひにも姫君をと熱心に請うのだった。 翌日、秋の町で中宮による季の御読経が催され、 船楽に訪れた公卿たちも引き続いて参列した。 紫の上は美々しく装った童たちに持たせた供養の花を贈り、中宮と和歌を贈答した。 夏になり、玉鬘の下へ兵部卿宮、髭黒右大将、柏木らから次々と求婚の文が寄せられた。 それらの品定めをしつつ、いつか玉鬘への思慕を押さえがたくなった…