【源氏物語728 第22帖 玉鬘28〈たまかずら〉】 「短いはかない縁だったと、私はいつもあの人のことを思っている。 この家に集まって来ている奥さんたちもね、 あの時にあの人を思ったほどの愛を感じた相手でもなかったのが、 皆あの人のように短命でないことだけで、 私の忘れっぽい男でないのを見届けているのが多いのに、 あの人の形見にはただ右近だけを世話していることが 残念な気のすることは始終だったのに、 そうして姫君を私の手もとへ引き取ることができればうれしいだろう」 こう言って、源氏は姫君へ最初の手紙を書いた。 あの末摘花に幻滅を感じたことの忘れられない源氏は、 そんなふうに逆境に育った麗人の娘…