映画批評

主人公2人と家以外何もない世界を通して、自分たちの欠点を初めて知る物語となっている。 今作は主人公たちの設定をすごく丁寧に描いている。その分設定を存分に活かし、何もない世界での反応の変化に納得できる。そして段階を踏まえて主人公たちと共に様々なことを考えさせられる。 何でもいいから暇をつぶしたいという方には観ても損はしないと思う映画である。

『エイリアン』の20年後が舞台となっているが、『エイリアン』を知らない方のことも考慮され、単体として作品が成り立っていて、非常に未知の生物の恐ろしさを実感できる。 今作の大半がエイリアンが潜んでいる無人船からの脱出劇だが、エイリアンの恐怖の見せ場と戦闘劇の均衡が上手く取れている。 エイリアンが登場するまでの登場人物の紹介や無人船に到着した後の行動を説明する丁寧な導入が、その後の展開や戦闘につながるように脚本が練り込まれている。 演出だけが全てというわけではなく、息もつかせぬ話も素晴らしい。一目見るだけで潜伏している謎の生物の恐ろしい特徴が分かるようになっていたり、徐々に判明する無人船の秘密など…

今作の主軸は江戸川コナンこと工藤新一と同様に、ある薬を飲んで体が縮んだ灰原哀の救済劇だ。 灰原の本当の正体を知り、殺そうと迫ってくる組織の恐怖が描かれ、コナンという作品をよく知らない人でも緊張感があふれるよう工夫されている。 そして今作はとにかく主要人物に焦点を当てた物語となっていて、事件の描写が少なくなるという欠点もあるが、人物に思い入れし、安否が気になる作りになっている。 コナンについて全く予備知識がない人には物凄く満足はできないかもしれないが、どの年齢層も純粋に楽しめる作品である。

地上600mで電波が届かない、2人だけしかいないと聞いて、打つ手などないし展開も分かりきっていると考える人は多いのではないだろうか。 しかし、この映画は想像の斜め上を行くような意外な展開となり、それも伏線を交えながら飽きさせることなく最後まで熱中できる。 突っ込みどころはあるものの、しっかりと中身が練りこまれた映画である。高所恐怖症でない、スリラー映画が好きな方におすすめである。

硫黄島の戦いをアメリカの視点で描いた原作を、星条旗を立てた数人の兵士の物語として、事実が大きく改変されない範囲で上手く脚色した映像化となっている。 あくまでも今作で描かれる主題となるのは硫黄島の戦いの戦闘ではなく、戦争における英雄とは誰なのかである。それも戦いの勝利国であるアメリカの視点でだ。その主題について強く考えさせるために脚色された物語で描かれる兵士たちの感情・行動は合点がいくものである。 もちろん戦いの場面にも大きな魅力がある。それは原作よりもアメリカの敵国である日本の描写がほとんどないことだ。原作では日本がどのような戦法をしていたか、日本の指揮官がどのようなことをしていたかは少しは解…

原作をおおむね忠実に映像化し、全編緊張感があふれる映画となっている。 今作には丁寧な説明は一切ない。ただでさえ心理描写が非常に少ない原作から心の内をすべて抽出し、さらに音楽も全く流れないことにより、人物を非常に客観的に描き、ただただ不気味な緊張感を醸し出している。 緊張感と引き換えに話が難解になったりと、原作の良さが失われた部分もあるが、凶悪な殺し屋の恐ろしさや、殺し屋との対峙は非常に息をつく間もない。 原作を読んだ方、狂人が出てくる作品が好きな方におすすめである。 原作は↓ ノー・カントリー・フォー・オールド・メン (ハヤカワepi文庫) 作者:コーマック マッカーシー 早川書房 Amazo…

復活した悪魔の王女の復讐劇だけでなく、主人公の設定に意味を持たせた成長物語でもある。 主人公は秘宝の地図を盗み、秘宝を独占しようと悪知恵を働かせていた自己中心的な人物だったが、王女に呪われたことをきっかけに、次第に自分に必要なことを自覚していく。 説明不足を感じさせたり、謎が多く残るような脚本が残念だが、怪物の登場が観たい方は楽しめるのではないだろうか。

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映画を観たのは10日くらい前ですが、あれもこれも腑に落ちて、やっとスッキリしました。 そういうことじゃないって監督さんはおっしゃるかもですが…。私の感性ではついていけなかったので。 私の感想映画『ナミビアの砂漠』★★★ 『ナミビアの砂漠』精神科医さんが徹底解説 『ナミビアの砂漠』を精神科医が徹底解説してみた！『ナミビアの砂漠』を見ました。2024年カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞した作品。ということで、楽しみにしていました。既に映画を見た人から「わからない」「わすりづらい」という感想も聞いていたので、… pic.twitter.com/J1ZmezIwAL — 精神科医・…

『密輸1970』と『ポライト・ソサエティ』を見た。 どちらもアクション映画として十分に楽しめた。『密輸』のほうは、面白くなるまでにちょっと時間がかかって前半モタモタしていた気はする。水中での戦闘シーンも、アーロンやジンベエが戦っているわけではないので、限界がある。『ポライトソサエティ』は、パキスタンの民族衣装を着ての大立ち回りが最高。女学校の仲間たちのキャラもすごくよい（アルバ役のエラ・ブルッコレリさんという女優が特に）。後半のSF展開には若干の『ステップフォード・ワイフ』風味を感じた。 英「ガーディアン」紙に掲載されたベアトリーチェ・ロアイザ「『哀れなるものたち』はフェミニズム映画なのか？」…

この映画の主人公は、21歳のカナです。 彼女は顔が小さくて手足が長く、抜群のスタイルで、美容脱毛のエステシャンをしています。そんな彼女は、ハンバーグを手作りでつくってくれるような優しい彼とはあっさりと別れ、クリエイターの男と同棲をはじめます。 この映画でなんと言っても、一番驚くのは、カナが、誰に忖度することなく、同棲している男に、投げつけたものを、それ、拾えよ、などと命令し、おまえ何考えるんだよ、と文句を言い、容赦なく何回も何回も叩き、取っ組み合いの喧嘩をして、おまえ、逃げるのかよ、と挑発し愚弄する、その熱量に圧倒されることです。 でも、なぜカナがそれほど男につらく当たるのかこの映画では、説明…

今日は敬老の日、らしいですね。15日だったんじゃなかったっけ。 この時期の東京はお祭りも多くて、たまたま渋谷の実家の辺りを歩いていたらお祭りをやっていました。すっかり忘れていた。 ボクは子供の時からお祭り、大嫌いでした（笑）。人が大勢集まって集団で騒いでいるのがその頃から嫌いだった。戦後からずっとボクの祖父の家は神社から出してきた神輿を置いておく御旅所になっていて、大勢人が集まっていたんです。だから余計に嫌だった。 ボクの名づけ親は神社の宮司だったくらい、神社と仲良くしていたらしいけど、ボク自身は神社の連中は戦争中 国策に協力した戦争犯罪人とも思っていますし（笑）。 今はもう、そんなこともなく…

2024年9月の映画寸評③ ＜自分なりのめやす＞ お勧めしたい ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ みる価値あり ⭐️⭐️⭐️⭐️ 時間があれば ⭐️⭐️⭐️ 無理しなくても ⭐️⭐️ 後悔するかも ⭐️ （67）『ナミビアの砂漠』（2024年／137分／PG12／日本／脚本・監督:山中瑤子／出演:河合優実 金子大地 寛一郎ほか／劇場公開日2024年9月6日） グランベリーシネマ 9月8日 ⭐️⭐️⭐️ 初監督作「あみこ」でベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待されるなど高く評価された山中瑶子が監督・脚本を手がけ、「あんのこと」の河合優実を主演に迎えて撮りあげた青春ドラマ。現代日本の若者たちの恋…

おはようございます！ 今日一日、怒らず、恐れず、悲しまず、正直、親切、愉快に生きよ。 #中村天風 9月16日 今日は、『競馬の日』 1954年、日本中央競馬会が農林省の監督の下で発足した日 本日のお誕生日 B.B.キングさん、ミッキー・ロークさん、東国原英夫さん、奥浩哉さん、内野聖陽さん、宮川大輔さん、徳井健太さん、多岐川華子さんなどなど もんち的には、猫パンチのミッキー・ロークさんのお誕生日 本日お誕生日の方々、おめでとうございます ㊗️㊗️㊗️㊗️㊗️ ミッキー・ローク 7歳の時に両親が離婚し、母は5人の子供を持つ警察官の男性と再婚した。 ニューヨークからマイアミへ移住したのちに、継父は、…

私が今まで観たアニメをすべてまとめました。アニメ映画は映画批評の部類です。 随時更新します。 【あ行】 （あ） （い） （う） （え） （お） 【か行】 （か） （き） （く） （け） （こ） 【さ行】 （さ） （し） （す） （せ） （そ） 【た行】 （た） （ち） （つ） （て） （と） 【な行】 （な） （に） （ぬ） （ね） （の） 【は行】 （は） （ひ） （ふ） （へ） （ほ） 【ま行】 （ま） （み） （む） （め） （も） 【や行】 （や） （ゆ） （よ） 【ら行】 （ら） （り） （る） （れ） （ろ） 【わ行】 （わ） （を） （ん） 【あ行】 （あ） 『あそびあそばせ』 …

以上、『月』(2023：石井裕也)より 以上、『正欲』(2023：岸善幸)より きょう９月11日は、磯村勇斗さんの誕生日です。1992年生まれの32歳になりました。おめでとうございます。静岡県沼津市出身。静岡県立沼津西高等学校卒業。高校時代から地元の劇団で演劇活動開始。桜美林大学に進学し、２年半で中退。BLUE LABEL所属。 磯村勇斗さんの映画出演作は、 2013.07.13『生贄のジレンマ』(2013：金子修介)、 2015.09.12『ガールズ・ステップ』(2015：川村泰祐)、 2015.12.12『仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス』(201…

『至福のレストラン／三つ星トロワグロ』 ワイズマン アカデミー賞名誉賞受賞、全世界から敬愛される94歳の巨匠フレデリック・ワイズマン監督が、親子3代でミシュランの三つ星を55年間持ちつづけ、グリーンスターに輝く、最高峰のフレンチレストラン〈トロワグロ〉の驚異の秘密に迫ったドキュメンタリー。2022年からスタートした撮影と編集を経て完成した本作は、世界各国の辛口なメディアからも「最初から最後まで魅惑的だ」「レストランがスペクタクルな舞台のようだ」「近年のワイズマンにおける芳醇な最高傑作」と絶賛。第58回全米映画批評家協会賞ノンフィクション映画賞を始め、数々の誉れ高いドキュメンタリー映画賞を独占し…

ストローを噛んでしまうように、空になったパピコの吸引口を噛んでいる時、永遠に正しい人にならないと感じる。 Cordaeいい曲出し過ぎじゃないか。Saturday Morningsやばいなと思ったら、Summer Dropもかなりやばい。 ヨルシカによる「若者のすべて」のカバーがFMから流れてきた。もう完全に別物であり、それ自体はカバーの特性上良いのかもしれないが、これはなんですか。フジファブリックのファンだったらこれは凌辱に等しいと思ってしまう気がしたが、幸いにもファンではなかったので、ふーんくらいで済んだ。 北村紗衣氏による「ダーティーハリー」の感想について、気に入らなかった人たちが声をあげ…

9月７日㈯。晴れ。 「TOHOシネマズ池袋」へ、山中揺子監督（二十代の若い監督）、河合優実主演映画『ナミビアの砂漠』を、S（妻）といっしょに見にいく。ずっとたのしみにしていた作品。 初監督作「あみこ」でベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待されるなど高く評価された山中瑶子が監督・脚本を手がけ、「あんのこと」の河合優実を主演に迎えて撮りあげた青春ドラマ。現代日本の若者たちの恋愛や人生を鋭い視点で描き、2024年・第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞した。 （「映画.com」より） www.youtube.com 【公式サイト】 https://happine…