家族とおでかけして、少し遠くのショッピングモールに行った日。ふと、自分の右手首に巻いた腕時計を見たら秒針が止まっていた。たぶん電池切れだ。 「あかん。このままやと時間わからへんわ。電池交換いかな」 「そう。ここの電池交換、ちょっと高いけどな」 「うん。ちょっと高いけどしょうがないわ。ほな、また後で」 現在時刻すらわからなかったら、集合時間に間に合わないどころではない。しかたないから行くしかない。とりあえずエスカレーターで2階へ上がり、いつもは素通りしている時計店を探す。幸いにしてまだテナントに入っていた。店内は無人に見えたけれど、よく見たらカウンターの奥に店員さんがいたので声をかける。 「すみ…