大好きな書楼弔堂シリーズ第三弾。前作からもう6年経っているそうな。今回の 舞台は昭和30年代後半。弔堂に続く坂道の途中で、鄙びた甘酒屋を営む弥蔵が すべてのお話の語り手を担います。老いさらばえた世捨て人のようなこの弥蔵の キャラクターがとにかくとても良かった。商売っ気もなく、何かを諦めたような 言動は、いつもどこか哀愁が漂っていて、一体どんな過去があるのか気になりました。 その答えは最後に明らかになるのですが。この弥蔵のもとには、なぜか弔堂に行く 客人が、道を訊きに訪れる。弥蔵の店から弔堂に行くまでの道は、さほど複雑 ではない筈なのに、不思議と言葉で説明するのは難しく、弥蔵はいつも道案内を 申…