二条城に行ってみようと思ったきっかけは、辻惟雄さんの「最後に、絵を語る。」という本だった。恥ずかしながら、還暦を過ぎる歳まで一度も二条城に行ったことがなかった。茨木市という比較的京都寄りの大阪で育ち、京都は行き慣れた場所でもあったはずなのに。さらに言えば社会人の頃には京都エリアを担当して城の横はよく通っていたし、その駐車場に止まるたくさんの観光バスや人の列を見ていたはずなのに。 二条城になにがあるのかをすっかり忘れていたぼくは、辻さんの本でやっとそこには狩野派の障壁画がたくさんあることを思い出した。「そうか、狩野派か」と、日本史の授業で狩野正信だ、元信だ、永徳だ、探幽だと習い、試験ではずいぶん…