野菊とりんどうの花 日本、木下恵介監督 渡し舟に一人の老人が乗っている。老人はこの地で育った斎藤政夫で船頭に思い出を語っていた。60年前の回想から物語は始まる。 政夫は大きな屋敷の旧家の次男坊だった。母が病弱なため従妹の民子が手伝いに来ていた。15歳の政夫と17歳の民子は幼い頃から仲がよかった。そのため家のものや村人たちの間で噂になっていた。 それでも二人はほのかな恋心を抱いていた。ただ民子が年上だということで政夫の母は二人の仲を許そうとはしなかった。 祖母だけだが「私は60歳になるが、一番幸せだったのは好きな人と一緒になれたことだ。いろいろな事はあったけど、そんなことはどうでもよかった」と二…