山田 まだインテリというのが選ばれた人で、薫りがあるんです。まいったと思いました。そういう味わいは、ドラマでは味わいがなくてとても出せませんでしたけれども、いいものだなと思いました。中村光夫さんの『戦争まで』という、第二次大戦が始まるまで、フランスへ留学なさっていた記録なんかにも、僕はそういう薫り、知的な節度のあるものを感じました。選ばれた人が留学して、向こうのご家庭の人たちと付き合う。何だかちょっと甘いような感じもある。きれいなお嬢さんがいたりして、別に恋愛というところまでいかないんですけれども、ちょっとした冗談が言えたりすると、非常にうれしかったり。それを書きとめておくというような薫りは、…