今回はシリーズ第23弾、雄略天皇・12回目を紹介する。「韋那部真根」を惑わす采女の相撲、そしてその真根を救った仲間の巧みたちのエピソード回。次の流れで紹介していく。 ・木工の韋那部真根・采女の相撲・同伴巧者(あいたくみ)の嘆き・甲斐の黒駒(かいのくろこま)・まとめ ■木工の韋那部真根 即位13年9月(秋)。 木工韋那部真根(こだくみいなべのまね、木工職人)は石を質(あて、木を削る基礎の台)として手斧をとって木を削った。終日(ひねもす)削っても、誤って刃を傷つけることがなかった。 天皇はその木工の作業場へ遊詣(いでま)して、不思議に思って尋ねた。「誤って石にあててしまうことはないのか」 真根は答…