もしや、私が武道をやろうと思った理由には、これもあったのかもしれない。 時は、昭和50年代。エンタメも情報源も、まだまだテレビの時代。スポーツ中継といえば、家族でリアルタイムにかじりついて観るのが当たり前だった。 その中で、パパとよく一緒に見ていたのが、野球と相撲。とくに、相撲。 当時、角界では小さな体で、鋭い眼光を放ち、次々と大きな相手をなぎ倒していく"ウルフ"、千代の富士が、関脇から一気に駆け上がっていった頃だった。 私にとって、それはもう衝撃だった。 相撲取りといえば、ただ「でかい!」「太い!」そんなイメージしかなかったのに。千代の富士だけは違った。小柄なのに、体中にみなぎる筋肉と、静か…