投球動作における肩の痛み、いわゆる「投球障害肩」は、必ずしも肩関節(肩甲上腕関節)だけに原因があるとは限りません。本稿では、我妻浩二氏らの論文(2021)をもとに、「肩以外の要因」、特に肩甲骨と股関節に注目した評価と治療の視点をご紹介します。 ■ なぜ“肩以外”に注目するのか? 投球動作は、下肢から上肢へと連動する全身運動(キネティックチェーン)です。この連動のどこかに機能不全が生じると、最終的に肩関節に過剰な負荷が集中し、障害につながることがあります。とくに問題となりやすいのが、「肩甲骨の動き」と「股関節の安定性」です。 ■ 肩甲骨:肩甲挙筋の影響に要注意 肩甲骨は、上腕骨頭の安定化に関わる…