はじめに 本記事は前回の補論に近い位置づけとなる。前回は『呪術廻戦』と他のバトルマンガとを比べたときの特異な点を摘示した。すなわち、➀善悪の相対化が極端に進んでいる点、にもかかわらず➁「応答責任」という形で「善」がはっきりと輪郭を持っている点、➂この「応答責任」を引き受けることが、青年が大人となる契機でもあった点、である。 今回は、他のバトルマンガでは描写されることの稀であった要素の指摘をしたい。それはおそらくは作者のフェティッシュによるものであり、本作全体を貫く価値体系に根差したものでもある。その要素とは、「若者のありえないほどの傲慢さ・思い上がり」であり、くわえて、それをナイーブな*1また…