両口屋是清「ささらがた」 端午の節句を目途とした、季節限定の菓子だ。 漢字では「細形(ささらがた)」だろうか。布地の細かい織柄のことである。江戸小紋などがこれにあたろうか。それを菓子の商品名に援用するのは、職人の行届いた工夫と手わざ、といった主張だろう。 「簓」の形かと考えてもみた。ササラを漢字で「簓」と書くとは、今回初めて知った。近世の、とはいっても昭和初期くらいまではあったのではないだろうか、竹製の打楽器である。リレーのバトンほどの竹筒の、片方を細かく裂いてぐざぐざにし、もう片方は柄にする。片手にササラを持ち、反対の手に持った拍子木かもう一個のササラに打ちつければ、あるいは掌でも腕でもを叩…