「今までで一番上手に切れたんだけど」 食卓に出した皿の上には、旬の果物が載っている。梨をいつも通り八等分し、続いて桃も、同じく八等分した。 大きな種がある桃を、周りをそぎ落とすように切る。それから皮をむき、皿に載せる。真ん中に種がある、残った実の部分は私がかぶりつく。皿に出す桃は、形も大きさもバラバラである。これがいつものやり方だった。 最初に桃の皮を全部むき、おもむろにいつもと違う方向に包丁を入れた。側面から縦方向に種に向かって包丁を入れる。種まで到達したら、一度包丁を抜いて、八等分の幅だけずらして、もう一度真ん中の種に向かって刃を入れる。最初の一切れは、少し強引に種から引きはがすが、二切れ…