訓読 >>> 1614九月(ながつき)のその初雁(はつかり)の使(つかひ)にも思ふ心は聞こえ来(こ)ぬかも 1615大(おほ)の浦(うら)のその長浜(ながはま)に寄する波ゆたけく君を思ふこのころ 要旨 >>> 〈1614〉九月にやって来る初雁の使いでなりとも、大君が私を思って下さる心は聞こえてこないものでしょうか。 〈1615〉大の浦のその長浜に打ち寄せる波のように、心ゆったりとあなたのことを思っているこのころです。 鑑賞 >>> 1614は、遠江守の桜井王(さくらいのおおきみ)が聖武天皇に奉った歌、1615は、聖武天皇がお答えになった歌。遠江は静岡県西部。琵琶湖を近江とするのに対し、かつて淡…