皿屋敷:新説怪談 芳尾生 1913年(大2)『皿屋敷』と『後の皿屋敷』の全2巻、樋口隆文館刊。 有名な怪談「皿屋敷」の「いちまぁ~い、にまぁ~い」の話かと思って読みだしたが、中身はまったくホラー味のない下剋上の謀反史談だった。もともと姫路の「播州皿屋敷」と江戸の「番町皿屋敷」があるのだが、前者のほうがルーツになっているらしい。 姫路城主の小寺伊勢守を弑逆して乗っ取りを企む青山鉄山一派の動静を探るため、忠臣の衣笠元信は侍女のお菊を間諜として送り込む。お菊は青山の息子から求婚され、家臣からも言い寄られるのを巧みに利用しながら機密を探り出す。家宝の皿十枚についてはお菊を妬む別の侍女の計略であり、お菊…