第3章 空の天才 サンディエゴ湾は、世界中からの船が行き交う魅力的な場所だった。この素晴らしい日曜の午後、フェリーの航路のすぐ北に停泊する豪華ヨット「サルバドール号」は、湾内で最も美しい船の一つだった。ケイン一行を乗せた小型ボートが桟橋を出発し、真っ白なヨットへと向かう。甲板では、爽やかなセーラー服姿のマデリンが、温かな笑顔で一行を出迎えた。「実は私も、この船のオーナーになったばかりなんです」マデリンは、甲板を見渡す一行に説明を始めた。「数ヶ月前にイギリス人から購入して、ここで引き渡しを受けることになっていたの。私が到着したのはおとといなのよ」「乗組員は7人と、それにシェフが1人。シェフだけは…