小学校四年生の春休みだった。村の会所(集会場)の前の道で、近所の悪友と「缶けり」をしていた。そろそろ飽きてきたので次の遊びをしようと、道の真ん中で輪になって話し合っていた。日陰に入るとまだ寒かった。 そのとき、太神宮夜燈の石燈篭があるあたりから、春やんが、日向を選んでいるかのように、ひょっこりひょっこりと歩いて来た。 村の中で「棟上げ」があり、それに呼ばれて、祝いの酒を飲んでの帰りだったのだろう。作業ズボンの上によれよれの背広を着て、てぬぐいでホッカムリという、どうみても不釣り合いな格好をしていた。昼さがりの陽を背に受けて、我々の輪の中に酒臭い真っ赤な顔をつっこみ、「おい、おまえら」と突然話し…