ボーカルの岸田さんは眼鏡を掛けていたし、靴ひもを結び直したり、アンコールの曲を決めてなくて相談しているあいだちょっと待たされたり、そういう日常と地続きの光景が含まれているからこそ、音楽によって何度ももたらされるカタルシスを特別なものとして体験できた。もちろん楽曲が突き抜けて格好良いというのが大前提としてあるけれど、過剰にロックを体現するような言動を用いなくても、生きて来たままの佇まいがあれば剥き出しの表現になるバンドもあるということが解った。 又吉直樹『東京百景』より 渋谷の老舗ライブハウス「クラブクアトロ」の35周年イベントとして、カネコアヤノとくるりの対バンが行われた。どちらも好きなバンド…