一条真也です。たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「新」です。 今から2500年前にブッダは「諸行無常」を説き、時を同じくしてギリシャの哲学者ヘラクレイトスは「万物はすべて流転する。太陽ですらも、今日の太陽はもはや昨日の太陽ではない」と喝破しました。さらに時代を遡れば、中国古代の殷王朝を開いた湯王は孔子も賛美した名君ですが、彼が沐浴に使った器には「苟に日に新たにして、日日に新た、又日に新たなり」という言葉が彫ってあったといいます。「日に新…