中国の春秋時代の儒学者で孔門十哲の1人。文才があった。
遠目には厳かに見え近づけば穏やかだけど言葉厳しく かの孔子さまには、3,000人もの弟子がいたといいますが、その中に子夏(しか)という優秀な弟子がいました。その彼が、君子すなわち品位のある人格者のあり様について語った言葉があります。 「君子には三つの変化がある。遠くから見るとおごそかで、近くで接するとおだやかで、その言葉を聞くと厳しい」 不肖私、もし、また人間に生まれ変わることができたなら、かくありたいと強く願うところであります。 ランキング参加中はてな文芸部 ランキング参加中言葉を紡ぐ人たち
子夏(しか)曰わく、仕えて優なれば、則ち学ぶ。学びて優なれば則ち仕う。(「子張第十九」13) (解説) 子夏の言葉。「すでに就職して余力があれば、学ぶのだ。学んで余力があれば、就職する」。(参考:「論語」加地伸行) 「優」は余力と解する。 // 学業を修めて就職する。学業を修めたからといって、すべてを習得したということはないのだろう。この世の「知」を知るということはどれだけ時間があっても足りないのかもしれない。 就職し社会に出れば、「なぜ」と思うことがたくさん出てくる。仕事をすれば「知」の不足を感じることもある。そんなことから「学び」の機会が生まれるのだろう。知を探究し始め、興味を持つと、終わ…
子游(しゆう)曰わく、子夏(しか)の門人小子(しょうし)は、酒掃(さいそう)、応対、進退に当たりては則(すなわ)ち可なり。抑々(そもそも)末なり。之を本(もと)づくば、則ち無し。之を如何(いかん)。子夏 之を聞きて曰わく、噫(ああ)、言游(げんゆう)過てり。君子の道は、孰(たれ)に先に伝えん。孰か後に倦(う)まん。諸(これ)を草木の区にして以て別あるに譬(たと)う。君子の道は、焉(いずく)んぞ誣(し)う可(べ)けん。始め有り卒(おわ)り有るは、其れ唯だ聖人のみか、と。(「子張第十九」12) (解説) 子游がこう述べた。「子夏の弟子たちは、掃除や客の接待や作法などしつけにおいては、よろしい。しか…
子夏(しか)曰わく、大徳は閑(のり)を踰(こ)えず。小徳は出入(しゅつにゅう)すとも可なり。(「子張第十九」11) (解説) 子夏の言葉。「大徳 人格者は、規範を越えることはしない。小徳 人格者にまだ達することのない未熟な者は、多少出入りしてもさしつかえない」。(参考:「論語」加地伸行) 一般的には、「大徳が軌道を外れなければ、小徳は多少の出入りがあっても、さしてとがむべきではない」と読む。「大徳」とは大きな徳目、「小徳」を小さな徳目として、大もとを踏み外さなければ、小さなところでの間違いは許容できるということであろうか。それを加地は人に例える。 日常における小さなミスは許容されてもよかろう、…
子夏(しか)曰わく、君子 三変(さんぺん)有り。之を望めば儼然(げんぜん)たり。之に即(つ)くや温か。其の言を聴くや厲(はげ)し。(「子張第十九」9) (解説) 子夏の言葉。「君子 教養人には、三つの姿がある。遠くから見ると威厳がある。接してみると温和である。話してみると厳正である」。(「論語」加地伸行) 師匠である孔子は子夏にとっては理想的な姿ということなのだろう。 「子は温(なご)やかにして厲(はげ)し。威ありて猛からず。恭(つつし)むあるも安し」。(「述而第七」37) dsupplying.hatenadiary.jp 東洋における人間の理想型がここにあると桑原武夫はいう。 // 「子夏…
子夏(しか)曰わく、小人の過つや、必ず文(かざ)る。(「子張第十九」8) (解説) 子夏の言葉。「小人 知識人は過失があると、必ず言い訳をする」。(「論語」加地伸行) 子張と議論したとき、激しい調子を批判されたとか。孔子のゆったりと相手の意見を聞く態度を学んでいないと子張に指摘され、さらに、小人の議論は、自分の意見だけが正しいと言い張り、目を怒らせ、腕をむき出しにし、早口で口から涎(よだれ)がたれ、目が赤くなり、勝を得ると喜びまわる等々と言われたという。 dsupplying.hatenadiary.jp 「子夏」、姓は卜(ぼく)、名は商。孔子より44歳若く、孔子学団の年少グループ中の有力者。…
子夏(しか)曰わく、百工(ひゃっこう)は肆(し)に居(お)りて以て其の事を成し、君子は学びて以て其の道を致す。(「子張第十九」7) (解説) 子夏の言葉。「工(たくみ)は作業場においてその技(わざ)を磨き、使い、物を作る。君子 教養人は学ぶことで道を磨き、実践する」。(参考:「論語」加地伸行) 「百工」はさまざまな工(たくみ) 「肆」、裏で物を作り、それを表で販売していた古代。そうした店でもあり作業場のこと。 // 「子夏」、姓は卜(ぼく)、名は商。孔子より44歳若く、孔子学団の年少グループ中の有力者。文学にすぐれた、つまり最高の文献学者だったという。孔子晩年の弟子。孔門十哲の一人。後に魏の文…
子夏(しか)曰わく、博く学びて篤(あつ)く志し、切に問うて近く思う。仁 其の中に在り。(「子張第十九」6) (解説) 子夏の言葉。「知識を広めて十分に記憶し、(発憤して)問題を立てては、自分のわからないことを解こうとする。仁 人の道はその中にある」。(論語 加地伸行) 加地の読みにこだわらず、この章もそのままに読んだ方が良くなかろうか。 博學而篤志、切問而近思、仁在其中矣 博学篤志、広く学びて、志を篤くする。 篤志、あついこころざし。協力援助する気持をもつこと 切問近思、知らないことを身近な問題として取り上げ、熱心に問いただして考える。 切問、切に問うこと。 子夏は、「仁」はその中にあるんだな…
子夏(しか)曰わく、日々に其の亡き所を知り、月々に其の能(よ)くする所を忘るる無くんば、学を好むと謂(い)うべきのみ。(「子張第十九」5) (解説) 子夏の言葉。「日々に新しいことを知り、月々に復習を怠らないようにするのであれば、学を好むということができる」。(論語 加地伸行) 学校で学ぶような読みよりも、そのままに読んだ方が良くなかろうか。 自分の弱点や欠点を知り、それを正していく、それこそが学びであり、その態度を身につけ習慣にしていく。そうすることで、新しい発見があり、新しい自分との出会いが生まれ、それが喜びになっていく。 // 子夏は「学而第一」7で、「賢を賢として色に易(か)え、父母に…
子夏(しか)曰わく、小道と雖(いえど)も、必ず観る可(べ)き者有り。遠きを致すに恐らくは泥(なず)まん。是(ここ)を以て君子は為(おさ)めざるなり。(「子張第十九」4) (解説) 子夏の言葉。「技芸や専門知識であっても、必ずそこには見るべきものがある。しかし、遠大なことを達成するには、おそらくそれに頼っては進まないであろう。それ故に、君子 教養人は技芸や専門知識を求めて学ぶのではない」。(論語 加地伸行) 「小道」、異端、農業などとする諸説がある。加地は「才芸」と解する。 // 孔子は「雍也第六」13で、 「女(なんじ)君子儒と為れ、小人儒と為る無かれ」、と子夏にいう。 社会すなわち他人たちの…