タイトル「ミステリー小説」 「殺人事件が起きたようだな」 刑事の山田は現場に到着すると、同僚の佐藤に声をかけた。 「被害者は誰だ?」 「このマンションの住人で、小説家の高橋という男だ。妻が帰宅したら、リビングで血まみれになって倒れていたということだ」 「死因は?」 「凶器は見つかっていないが、頭部に鈍器で殴られたような傷がある。死亡推定時刻は午後三時頃だろう」 「現場に何か手がかりはあるか?」 「そう言えば、この本棚にある本が気になったんだ。高橋の作品ではなくて、他の作家のものばかりだ」 「それがどうした?」 「この本棚にある本は全部ミステリー小説なんだけど、タイトルや作者名がすべて逆さまに並…